公募証券投資信託(以下投資信託という)にはいくつかの分類方法がありますが、税法上は、公社債投資信託か株式投資信託かの区分が最も重要です。なぜかというと、公社債投資信託か株式投資信託かによって、課税方法が大きく異なるからです。また、それぞれに国内投資信託と外国投資信託とがありますが、為替換算の点を除けば、原則として税法上は、外国投資信託は国内投資信託に準じた取り扱いとなります。
投資対象を国債、地方債、社債等に限定し、株式での運用は一切行わない投資信託のことです。MMFやMRFが代表的な公社債投資信託です。
公社債投資信託の税金は、償還益に対する税金を除けば債券の税金に準ずる部分が多く、概要は下表の通りです。なお、中途換金(売却)には「解約」と「買取」の2種類の方法がありますが、国内公社債投資信託の場合には、一般的に「解約」で中途換金されます。外国公社債投資信託の場合は「解約」、「買取」という概念ではなく「買戻し(譲渡)」という概念になりますが、税法上は「買取」に準じて取り扱われます。
| 分配金 | 中途換金(売却) |
償還益 |
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
解約益 |
買取(譲渡)益 |
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公社債 |
国内 |
利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税 | 利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税 |
◎売却益の税金(1)参照 |
利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税 |
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外国 |
- |
非課税 |
利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税※ |
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※表示通貨(外貨)ベースでの償還金額と元本相当額との差額をTTBで邦貨(円貨)換算したものに課税されます。
(1)国内公社債投資信託
分配金に対しては、債券の利子と同様、利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税となります。税金は源泉徴収され、課税所得のない人でも確定申告によって源泉徴収された税金の還付を受けられない点、合計所得金額に含まれない点等は債券の利子と同様です。
なお、MMFのように日々決算をしているが、果実部分(日々の分配金相当額)は月末に分配(再投資)するものについては、分配前であっても果実部分は税率20%の源泉分離課税の対象となります。
(2)外国公社債投資信託
外国債の利子と同様、既に外国で源泉徴収されている場合には、その分と併せて20%になるように調整する差額徴収方式が適用される点以外は、基本的には国内公社債投資信託と同様です。
(1)国内公社債投資信託
投資信託には「解約」と「買取」の2種類の中途換金(売却)の方法がありますが、国内公社債投資信託の場合は、通常は「解約」で中途換金されます。税法上は利子所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税となります。また、「償還」は税法上は「解約」と同じ扱いになります。
なお、「買取」で中途換金した場合には、買取(譲渡)益は非課税ですが、債券の経過利子のように買取(譲渡)益の20%が源泉税相当額として控除された価額が買取価額になりますので、手取額で比較すれば「解約」の場合と同じ金額になります。そのため「買取」で中途換金するケースは、ほとんどありません。また、損失が出た場合には、税法上はその損失は「ないもの」とされます。
(2)外国公社債投資信託
外国公社債投資信託の場合には、中途換金(売却)は「買戻し」で行われます。これは「譲渡」に該当するものと解されるため、税法上は「買取」として取り扱われます。ただし、外国債の経過利子から源泉税相当額が控除されないように、外国公社債投資信託の場合も源泉税相当額は控除されません。つまり、売却益は非課税ということになります。この部分は国内公社債投資信託と異なります。損失は、国内投資信託と同様、「ないもの」とされます。
税金は邦貨で納めるため邦貨換算する必要がありますが、基本的には外国債に準じて邦貨換算します。分配金は、外国債の利子と同様、TTBで換算します。購入・売却(買取)の際には、同様にTTMで換算します。償還の場合は外国債の場合と若干異なり、表示通貨(外貨)ベースの償還金額と元本相当額との差額(収益の分配額)をTTBで換算します。なお、外貨建てのものでも、分配金等を邦貨で受け取る場合には、それが換算額であり、改めて邦貨換算する必要はありません。
公社債投資信託以外の投資信託を株式投資信託といいます。名前の通り、株式を投資対象の中心にしているものもありますが、実際には株式の組み入れはなくとも、投資信託約款の投資対象に株式が含まれていれば、株式投資信託に分類されます。後者の代表的なものとして、毎月分配型の投資信託をあげることができます。
株式投資信託は上場株式等に含まれますので、税法上は原則として上場株式等に準じた取り扱いになります。なお、平成21年から中途換金(売却)の際の「買取」と「解約」(償還も「解約」と同じ扱い)の税法上の区別がなくなり、どちらも上場株式等の譲渡所得として取り扱われるようになっています。外国株式投資信託の場合は「解約」、「買取」という概念ではなく「買戻し(譲渡)」という概念になりますが、税法上は「買取」に準じて取り扱われます。
これらの概要(平成21年1月1日〜平成23年12月31日)は下表の通りです。
※申告不要制度を利用して源泉徴収だけで課税関係を終了するか、確定申告をして総合課税または申告分離課税(大口株主等を除く)を選択することができます。また、平成22年からは特定口座(源泉徴収あり)に受け入れることも可能になりました(所定の手続きが必要です)。特定口座(源泉徴収あり)に受け入れる場合は、当該口座の1年間の譲渡損失が確定した後で損益通算をするので、源泉徴収された税金の還付は翌年初になります。
株式投資信託は上場株式等に含まれるため、分配金に対する税金は「株式-6.上場株式等の配当等に対する税金」に準じた取り扱いとなります。平成21年1月1日から平成23年12月31日までは引き続き10%の軽減税率が適用されます。なお、追加型投資信託の特別分配金は、税法上は個別元本の払戻しとみなされますので、税金はかかりません。詳細は次の「普通分配金と特別分配金」でご確認ください。
株式投資信託の分配金に対する源泉徴収税率
(1)国内株式投資信託
上場株式等の配当等と同様、配当所得として税率10%(所得税7%、住民税3%)の源泉徴収が行われます。このまま申告不要を選択して課税関係を終了させることができますが、申告不要を選択するためには特段の手続きは必要なく、確定申告をしなければ自動的に申告不要を選択したことになります。
また、確定申告をする場合は、平成21年分(平成22年2月16日〜3月15日に確定申告)からは、従来の総合課税に加えて申告分離課税を選択することも可能になりました。なお、上場株式等の配当等について確定申告をする場合には、平成21年分から支払通知書の添付が義務付けられています(特定口座(源泉徴収あり)に受け入れた場合には、支払通知書の代わりに年間取引報告書を添付することになります)。
(2)外国株式投資信託
国内株式投資信託に準じた取り扱いになります。ただし、外国で源泉徴収されている場合には、外国での源泉徴収後の金額の10%が日本で源泉徴収されます。
追加型株式投資信託の分配金は、分配落ち後の基準価額と、その受益者(投資家)の個別元本との関係で普通分配金と特別分配金に分かれます。
普通分配金とは、分配落ち後の基準価額が、その受益者(投資家)の個別元本と同額以上の場合の分配金です。前述のように上場株式等の配当等に含まれます。
一方、特別分配金とは、分配落ち後の基準価額が、その受益者(投資家)の個別元本を下回る場合の分配金です。特別分配金は、税法上は個別元本の払戻しとみなされ、非課税となっています。個別元本の払戻しですから、分配落ち後の個別元本は、特別分配金を控除した価額になります。
【参考】普通分配金と特別分配金
分配前基準価額10,500円、分配金1,000円、個別元本10,100円の場合
分配落ち後基準価額=10,500円−1,000円=9,500円
特別分配金=10,100円−9,500円=600円(非課税)
普通分配金=1,000円−600円=400円(課税対象)
源泉徴収税額=400円×10%=40円
分配落ち後個別元本=10,100円−600円=9,500円
(1)国内株式投資信託
株式投資信託は上場株式等に含まれるため、売却益に対する税金は上場株式に準じた取り扱いとなります。株式投資信託にも「買取」と「解約(償還)」の2種類の中途換金(売却)の方法がありますが、平成21年分からは両者の税法上の区別がなくなり、どちらの方法で中途換金しても税法上は「買取」で換金したものとして取り扱われることになり、売却益は上場株式等の譲渡所得となります。そのため、一般口座および特定口座(源泉徴収なし)での売却益※については原則として確定申告が必要になります。一方、特定口座(源泉徴収あり)の場合には、確定申告をせず、源泉徴収されただけで課税関係を終了させることができます。
※平成20年までは、解約の方法で中途換金(売却)した場合は配当所得となり、利益額の10%(所得税7%、住民税3%)が源泉徴収されていたため、確定申告の義務はありませんでした。
上場株式等の譲渡所得※に対する税金
※その年の分だけであれば、年間の譲渡益=譲渡所得となりますが、前年以前の譲渡損失を繰り越している場合には、譲渡益−繰越譲渡損失=譲渡所得となります。
(2)外国株式投資信託
外国株式投資信託も上場株式等に含まれるため、売却益に対する税金は国内株式投資信託(上場株式等)に準じた取り扱いとなります。
前述のように、平成21年分からは「買取」と「解約(償還)」の税法上の区別がなくなったため、どちらの方法で中途換金しても、他の株式等の譲渡損益との通算が可能になりました。また、平成21年分の上場株式等の配当等から、株式投資信託の譲渡損失との損益通算が可能になりました。詳細は「株式-2.上場株式等の譲渡損失の繰越控除」および「株式-3.上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当等との損益通算」でご確認ください。
株式投資信託の分配金も配当控除を受けられる場合があります。株式投資信託の分配金に対する配当控除は株式の場合と異なり、その資産割合によって控除率が3段階に分かれます。ここでいう資産割合とは、実際に組入れられている割合ではなく、投資信託約款に記載されている組入れ可能な割合です。具体的には、外貨建資産の割合や株式以外の資産の割合によって3段階に分けられます。課税総所得金額※が1,000万円以下の場合の資産割合別の配当控除率は下表の通りです。なお、外国投資信託には配当控除の適用がありません。
※「課税総所得金額」とは、総所得金額、分離課税の長期(短期)譲渡所得の金額、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額および先物取引に係る雑所得等の金額から、所得控除の合計額を差し引いた金額の合計額をいいます。
◎上場株式等の配当等については申告分離課税を選択し、上場株式等の譲渡損失と損益通算した場合でも、未公開株式等の配当等に関しては、配当控除の適用を受けることが可能です。
株式投資信託の資産割合別の配当控除率
◎課税所得金額等が1,000万円を超える部分の配当控除率は上表のそれぞれ1/2になります。
上表の(1)の部分の収益分配金で配当控除を受ける場合は、下表のようになります。
税金は邦貨で納めるため、外貨のままで分配金や売却代金等を受け取る場合には、邦貨換算する必要があります。分配金についてはTTB、購入の場合はTTS、売却・償還の場合はTTBで換算します。なお、外貨建てのものでも、分配金等を邦貨で受け取る場合には、それが換算額であり、改めて邦貨換算する必要はありません。
株式投資信託も上場株式等に含まれますので、その分配金や譲渡益は平成24年から実施される非課税措置の対象になります。詳細は「株式−10.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置」でご確認ください。
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平成22年8月 作成
監修/浅沼みらい税理士法人
新宿総合会計事務所

