末吉竹二郎氏特別インタビュー

Opinion Interview
末吉 竹二郎氏
(国連環境計画・金融イニシアチブ 特別顧問)
※現在「地球環境債」は販売を終了しています。
末吉さんが特別顧問をされている国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)についてお教えいただけますか?
国連環境計画とは、1972年にストックホルムで開催された国連人間環境会議で採択された環境国際行動計画を実施するための機関として設立されたものです。なかでも金融イニシアチブは、世界の金融機関の環境問題への取り組みを推進していく役割を担っています。
国連環境計画の誕生当初から地球環境問題は国際社会全体で対応する必要があり、CO2を排出するメーカーなど多くの民間企業が参画してきました。しかし、直接的に環境破壊に関わっていない金融機関は、取り組みが遅かったんですね。ただ、20年ほど前から、社会のインフラであるお金を扱う金融機関も積極的に関わるべきだとの認識が高まり、現在では200を超える金融機関が国連と一緒になって行動しています。金融機関が能動的に環境問題に取り組むことは、世界的な大きな流れになってきています。
当社では社会貢献型債券「地球環境債」を取り扱うことになりました。
とても時流にあった金融商品だと思いますね。銀行などの間接金融の場合は、預金の運用は銀行任せです。近年は自分の預金を熱帯雨林を破壊するようなビジネスに投資しないでほしいという要望を銀行に出すなどの動きも生まれていますが、原則として預金者は口を出すことができません。しかし、証券のような直接金融の場合は、自分の意思で運用先を決定することができます。つまり、「地球環境債」であれば、自分の意思で、自分のお金を森林再生プロジェクトや自然エネルギー開発プロジェクトに投資することができるわけです。
社会には地球環境問題を何とかしたいと思っている人は大勢いると思います。例えば、ご高齢の方などは今までの自分の人生を振り返って、今の社会の異常さを実感として把握しておられるのではないでしょうか。自分の育った田舎の風景が消え失せてしまった、天候や農作物にしても今まで経験したことのないことばかり起こる。これは大変だぞ、なんとかしなくてはいけないぞと。一方で、将来の生活の基盤を強固にしたいとも望んでいらっしゃる。実は今までは、この2つの思いは1つに交わることはなかったんですね。ですが、「地球環境債」はこの2つの思いを1つに結びつけることができます。
実際、環境問題の解決に貢献したいと思っても、どこに投資していいか分からない方が大半でしょう。自分で情報を収集して、投資先を探すのはとても大変です。そこで、証券のプロフェッショナルが将来性の高い環境プロジェクトを商品として提案していくことは、とても意義があると思います。また、証券ビジネスとして考えれば、新たな顧客を開拓していけるチャンスではないでしょうか。単なる利益だけでは投資しない人でも、それが環境関連に投資されるとなれば、投資行動に踏み切るケースも多いのではないでしょうか。
投資にも「環境」という新しい視点が入りつつあるのですね。
今、投資の世界で大きな潮流になりつつあるのが、責任投資原則です。これは、財務的なリターンを第一義的に考えていた従来の投資への反省から生まれた考えです。お金のリターンだけを考えていたから、温暖化が起き、生物多様性が破壊されたのではないか。そこで生まれたのが、リターンは重要だけれども、投資対象先企業が環境にどう取り組んでいるかも判断材料に加えようという発想です。
この責任投資原則をもっと分かりやすく言うと、未来世代のことを考えた投資をしましょうということだと、私は考えています。投資は必ず社会や環境にインパクトを与えます。それが、ポジティブでハッピーなインパクトなのか、ネガティブなダメージを与えるインパクトなのか、ということ。そのうえで、未来世代に責任のもてる投資を行うということですね。そうすれば、未来価値を先取りする新しいマーケットが生まれるはずです。
証券会社もそうした社会的責任を果たしていく必要があると認識しています。
その通りだと思います。環境問題はもはや待ったなしです。温暖化も顕著ですし、生態系の破壊も目を覆うばかりの速さで進んでいます。今、環境問題に本気で取り組もうという強い意志を、世界は持ち始めています。だからこそ、証券会社はいち早く環境に関連した情報を提供し、環境投資を願うお客様へのニーズに応えていく必要があります。さらに、潜在的に環境への意識をもった方を掘り起こし、そこに具体的な商品を提供、説明していくのも、証券会社の大きな社会的役割だと思います。その意味で、「地球環境債」を扱うSMBCフレンド証券には大きな期待を寄せています。
Profile
末吉 竹二郎
1967年東京大学経済学部卒業後、三菱銀行(現:三菱東京UFJ銀行)に入行。ニューヨーク支店長、取締役、東京三菱銀行信託会社(ニューヨーク)頭取を経て、1998年に日興アセットマネジメント副社長、2003年に国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP・FI)特別顧問に就任。環境問題やサスティナビリティ・CSR分野において、講演や執筆活動などを精力的に行っている。



